小規模銀河団の進化に深く係わる楕円銀河の観測研究から以下のことが分かった。1.楕円銀河のスペクトルは温度〜800万度のプラズマ成分と、ハード成分からなる。2.ハード成分はLMXBが支配的である。3.プラズマ成分が1温度とした場合、重元素組成比は太陽の半分でしかない。一方、プラズマ成分は他御度の可能性もあり、この場合重元素組成比は詳しく決定出来ない。4.プラスマ成分のX線光度はその温度と正の相関がある。乙女座銀河団の中心に位置するM87のの観測から以下のことが分かった。1.M87の高温プラズマは〜2500万度の高温成分とと〜1200万度の低温成分からなっている。前者は乙女座銀河団ガスに、低温成分はM87に付随する成分と考えるのが自然であろう。2.鉄は明らかに中心集中している。3.酸素と鉄の比が太陽組成より低い。小規模銀河団に含まれている重金属は、誕生したばかりの銀河から放出されたと考えられている。誕生したばかりの銀河のプロトタイプと考えられている近傍のスターバースト銀河であるM82を詳細に調べたところ以下のことが分かった。1.2型超新星爆発から期待される大量の酸素輝線はほとんど観測されなかった。2.鉄についても量が少なかった。3.珪素や硫黄は大量に含まれる事が分かった。4.この結果、小規模銀河団の重金属の起源として単純にスターバースト銀河を考える事は出来ない事が分かった。遠方の小規模銀河団としてMS0839.8(z=0.194)を観測した。このクラスの銀河団のX線観測としては、これが最も遠方の例である。この観測の結果から以下のことが分かった。1.温度及び重金属量共に近傍の小規模銀河団とはほとんど違いが見られなかった。2.この結果は、z=0.2から現在まで小規模銀河団は大きな進化をしていないことを示している。
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