研究概要 |
我々は現在,国際共同研究(東京大学原子核研究所・高エネルギー物理学研究所・大阪大学理学部・米国ブルックヘブン国立研究所/BNL・プリンストン大学・カナダトライアンフ研究所による共同研究)として,K^+中間子稀崩壊過程の研究をBNLのAGS(30GeV,6x10^<13>ppp)にて実施中である。ここで研究する物理課題はK^+→π^+νν,K^+→π^+π^0(π^0→νν),K^+→π^+μ^+μ^-,K^+→μ^+νγ,π^+π^0γ,π^+γγ等崩壊過程の測定を通して標準理論の検証と未知粒子の探索を目標としている。これらの崩壊過程で発生するγ線を効率よく検出することは,崩壊過程の同定及びバックグラウンド過程の除去のために最も重要な測定項目の1つである。本研究はBNLでの実験と並行して,実験で使われているγ線検出器(Pure-CsIとFine-mesh光電子増倍管)からの高速信号を系統的に調べ波形解析を行なうべく国内にて平成5-6年度にかけて科学研究費補助金による当課題研究を進めてきた。検出器からの高速信号はトランジェント.デジタイザーにて測定,メモリー保存し,ワークステーションにデータ転送して波型解析を高速で行なう。本年度はワークステーションでの高速波形の解析(多重信号の時間情報,エネルギー情報の導出)に重心を置いて研究を行なった。また平成6年度にBNLの実験装置から得られたγ線信号のデータと比較検討しながら多重波形分離の解析法の研究を進めた。これらの結果からBNLでのデータに含まれるK^+→π^+π^0のπ^0エネルギー再構成及びバックグラウンド除去のための信号時間決定等を行なうことができた。平成7年度も引き続き解析法の研究を進める。
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