研究課題/領域番号 |
05452031
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
大橋 隆哉 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70183027)
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研究分担者 |
牧島 一夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20126163)
山崎 典子 東京都立大学, 理学部, 助手 (20254146)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | X線天文学 / X線検出器 / エネルギー分解能 / 科学衛星 |
研究概要 |
本研究は現在軌道上で観測を続けている「あすか」衛星に搭載された撮像型蛍光比例計数管(GIS)の成果を踏まえた上で、この検出器をドリフトレスタイプとすることにより、バックグラウンドの除去能力と位置分解能の両方を高めることを目的として進めた。第一段階としてまずドリフトレス型のガスセルの製作を行なった。内径は93mm、深さは20〜25mmとした。これに紫外線用の位置検出型でないフォトチューブを取り付けて非X線のバックグラウンドの除去効率を上げる試験を進めた。信号を処理するために波形デジタイザーを導入し、電子がガスセル中を進む間の全発光量や発光量の時間変化を測定した。これらの情報を用いて、X線の止まる深さを用いたバックグラウンド除去と、発光の時間変化を用いた除去とを行なった。2-3keV以下のエネルギーではX線はすべて入射窓から数mm以内の浅いところで止まるため、発光時間の短いイベント(深いところで止まったもの)除去した。また発光の時間変化をパルスの前半と後半とで比較し、後半の発光が長いものをバックグラウンドとして除去した。これによりドリフトレスSPCで硬X線領域で「あすか」GISと同レベルのバックグラウンド除去ができるだけでなく、3keV以下では一桁ほどバックグラウンドを減らせることが実証された。この実験に引続き、ガスセルと位置検出型フォトチューブを組み合わせ、位置分解能を調べる実験を行なった。0.1mm径のコリメータを用いX線発生装置からX線を入射して測定した。この結果位置分解能は0.3mmとなり、これは「あすか」GISの約0.6mmに比べ2倍ほどの改善となった。こうしてドリフトレス型の蛍光比例計数管は低バックグラウンドと優れた位置分解能を同時に実現する検出器であることが実証された。将来さまざまな方面への応用が期待される。
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