研究課題/領域番号 |
05452035
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 久遠 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30021934)
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研究分担者 |
南 不二雄 東京工業大学, 理学部, 教授 (30200083)
吉田 幸司 北海道大学, 電子科学研究所, 学術振興会特別研究員
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キーワード | 非線形光学 / 二光子共鳴効果 / 光第二高調波発生 / ハイパーラマン散乱 / 四光波混合現象 / 二光子吸収 / 励起子 / 化合物半導体 |
研究概要 |
2光子共鳴に基づく、いくつかの新しい現象を初めて観測するなど多くの成果を上げた。 1.2光子共鳴のラマン散乱、すなわち電子励起状態共鳴ハイパーラマン散乱現象を半導体量子微結晶について世界で初めて観測し、その特性を詳細に調べた。すなわち、強い閉じ込め系の代表であるCdS量子ドットの量子閉じ込め電子準位に共鳴して、また、弱い閉じ込め系の代表であるCuBr量子ドット(弱い閉じ込め系)では1S、2P励起子に共鳴して、LOフォノン散乱による信号が生ずることを明らかにした。いづれの場合にも、量子閉じ込め効果のために散乱断面積が異常に増大することを発見した。 2.上記の2種類の量子トッド系において2光子共鳴のSHG散乱現象を観測した。この現象も世界で初めての観測例であり、大きな成果である。これらの現象は量子閉じ込め系の電子構造を解明する上で有力な分光法である。 3.ZnSe/ZnSSe量子井戸系で2光子共鳴励起によるbiexciton(励起子分子)の存在を世界で初めて明らかにした。すなわち、ブリュスター角反射過渡分光法によりbiexcitonが生成されている事実を、第2パルスの負領域での信号の存在から明らかにした。この結果は、量子閉じ込め効果が大きい、II-VI化合物量子井戸系でbiexcitonが本当に存在することを直接的に実証した画期的な成果である。 4.ZnS/ZnSe量子井戸系でbiexcitonによる直接2光子吸収を観測することに成功した。しかしながら、未だ多少の疑義があるため、現在、前年度に我々が開発した共鳴SHG法を用いて、より弱励起状態での確認の実験を行っている。
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