研究課題/領域番号 |
05452039
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
栗田 進 横浜国立大学, 工学部, 教授 (30089833)
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研究分担者 |
武田 淳 横浜国立大学, 工学部, 講師 (60202165)
横山 泰 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (60134897)
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キーワード | フォトクロミズム / 光学的性質 / 有機フォトクロミック化合物 / フルギド / 分子性結晶 |
研究概要 |
フォトクロミズムの高性能化を目指して、フルギドのフォトクロミズムに及ぼす置換基の立体効果、電子効果を調べた。フリルメチリデン基の上の嵩高いアルキル置換基、及び嵩高いアルキリデン基がフォトクロミズムの及ぼす立体的影響は、前者が還化の量子収率を、後者は開還の量子収率を著しく増大させることがわかった。インドリルフルギドについて置換基の電子効果を調べ、インドール還5位に電子供与性の置換基を持つ物は光反応量子収率波減少するが、吸収帯はレッドシフトすることがわかった。 有機フォトクロミック化合物について異性化機構の異なるフルギド(電子環状反応)、アゾベンゼン(E-Z異性化)及びサリチリデンアニリン(水素移動型互変異性化)を取り上げ、単結晶の育成及び得られた結晶の偏光反射スペクトルを軌道放射光領域を含む広い範囲で測定した。固体を作ることによってエネルギー準位は分子が単独にある場合に比べて低エネルギー化し、フレンける励起子となることがわかった。吸収スペクトルの偏光依存性は分子内の遷移双極子モーメントの結晶内での向きによって説明できることを見い出した。フルギド単結晶について照射波長の選択で結晶表面への異性体薄膜の形成、結晶内部への異性体分子のド-ピング、さらにはこの異性体の光による消去が可能であることを見い出し、光による物質制御の本研究の目的を達することが出来た。尚、光で導入された異性体分子はいずれの場合でもb軸方向に平行に分極した吸収帯を可視光領域に有し、配向膜を形成していることがわかった。他の2つの化合物いついては、異性体の存在形態(表面、内部)や濃度の変化に伴う異性体吸収バンドのエネルギーシフトを見い出した。詳細は今後の課題である。
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