研究課題/領域番号 |
05452041
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
邑瀬 和生 大阪大学, 理学部, 教授 (50028164)
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研究分担者 |
下村 哲 大阪大学, 基礎工学部, 講師 (30201560)
鷹岡 貞夫 大阪大学, 理学部, 助教授 (50135654)
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キーワード | 2次元電子系 / 非局所伝導 / 量子ホール効果 / エッジ状態 / 磁気電子フォーカス効果 / メゾスコピック / とじ込めポテンシャル / 静電容量 |
研究概要 |
磁気電子フォーカス効果による電子の出射分布の研究 GaAs/AlGaAsヘテロ接合上に形成される2次元電子系において、ゲートで線幅を制御できる端子を用いて磁気電子フォーカス効果を測定し、端子からの電子の出射分布について調べた。磁気電子フォーカス効果のピークの磁場位置は端子からの電子の出射分布には鈍感で、変化はほとんど観測されなかった。この実験に即したビリヤード・モデルによる計算を行い、出射分布が緩やかなときは磁気電子フォーカス効果のピークの磁場位置は変化しないことを確認した。さらに磁気電子フォーカス効果で見られる、測定に無関係な端子での電子の“反射"は、電子が端子に入射することで端子の化学ポテンシャルが上昇し、別の電子が再出射することで生じることが分かった。 2次元電子系のとじ込めポテンシャルと非局所伝導の研究 低温・強磁場下のGaAs/AlGaAs2次元電子系で、非局所抵抗の分離部分の一方の端に短冊状の切り込みのあるゲートをつけて試料の「端」の長さを変え、エッジ状態とバルク状態との非平衡の緩和について調べた。エッジ電流が電流端子から「端」の長い方を通る場合に非局所抵抗の値が小さくなっており、長い距離を伝播する間に、エッジ状態-バルク状態の化学ポテンシャル差が緩和していることが確認できた。伝導のモデルとの比較により、緩和距離を定量的に求めることが今後の課題である。 量子ホール効果における2次元電子系の静電容量とエッジ状態の研究 量子ホール効果における2次元電子系とその上に付けたゲートとの間の静電容量には、バルク状態による寄与Cbとエッジ状態の寄与Cedgeとがあることを、初めて見いだした。量子ホール効果のプラトーのとき、σ_<xx>が非常に小さくなりCedgeが支配的になり量子ホール効果での「伝導的な領域の幅」についての情報が得られる。特に占有数ν=2およびν=4では、温度0.5K以下でエッジチャネルの幅を測定できる。従来、エッジ状態の幅は、磁気長程度の小さいものと考えられてきたが、実験から見積もった幅はこれを大きく上回るものであった。
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