1.試料を超高真空中で劈開し、清浄な試料表面を観察できる原子間力顕微鏡を開発した。 2.探針先端の1個の原子による顕微鏡観察を確認するためには、探針の微小変位を超感度に検出する必要があった。そこで、ノイズ成分の極めて少ない光源を購入し、また超安定な駆動回路を開発し、超高感度の光干渉方式変位計を実現した。 3.塩化ナトリウム型の3次元イオン結晶であるフッ化リチウム(100)劈開表面の結晶性と清浄度を評価するため、現有の超高真空装置に低速電子線回折装置を付加した。 4.フッ化リチウム(100)劈開表面において、『格子欠陥のような非周期性の原子的構造を観察すること』に世界で初めて成功した。これは、原子間力顕微鏡が探針先端の1個あるいは数個の原子によって観察していることを示唆している。 5.フッ化リチウム劈開表面の格子欠陥のような非周期性の原子構造を観察するためには、探針-試料表面間に働く斥力の上限が1×10^<-9>N程度であることを求めた。 6.これまで、原子表面と接触して測定する原子間力顕微鏡で、反応しやすいダングリングボンド(未結合手)がある半導体表面を原子分解能で観察した報告はない。今回、このようなダングリングボンドのある表面のガリウムヒ素(110)劈開表面の観察にも世界で初めて成功した。
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