平成6年度は以下の計画に基ずいて研究を行った。 1)前年度に行った測定システムの完成度の確認ならびに点検を行うと共に、物質をひろげて、KClやLiFからのアルカリ原子の光脱離についての測定を行う。特に、光脱離の励起光エネルギー依存性や単バンチ運転利用の時間応答性の実験を行うことによって、励起アルカリ原子の光脱離の動的過程を明かにする。 2)UVSORの実験ビームラインBL6A2において、光脱離と光電子分光実験を同一条件で行い、表面状態を確認しながら、光脱離の測定を行う。これによって、表面上の吸着アルカリの光脱離に対する影響を調べる。 3)既存の半導体レーザーを用いてLIF法による高感度検出システムを構成し、それを用いて、基底原子の放出を測定する。 その結果、 (1)については、励起エネルギー依存性の測定を行うことが出来、現在論文作成中である。また、時間応答性については、世界で初めてナノ秒の動的過程を実験的に明らかにし、既に論文として報告した。 (2)については、表面に金属アルカリが増えることを見いだし、それが光脱離を阻害することが明かとなった。現在、得られた実験結果の解析を進行中である。 (3)については、実験システムを構成中で、いくつかの試行錯誤を行っているところであり、残念ながらまだ成果は得られていない。
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