本年度の研究経過 1)アルカリ金属は酸化しやすいので試料の成型や設定はグロー・ボックスの中で行わなければならない。試料の成型等のしやすい大きな、そしていろいろの細工がしやすい様に改良したグロー・ボックスを作成した。 2)そのグロー・ボックスを用いてK金属を酸化を防ぐために石英に封入し、その試料を超低温まで冷却できるように熱接触用の銅線も先端部分を試料に接触させたまま封入し、他端を希釈冷凍機の混合室(最も温度の低い部分)に接触させ希釈冷凍機で冷却した。この方法で一応mK温度まで試料を冷却できるようになった。 3)高エネルギー研放射光実験施設において上記の様にして生成した試料を希釈冷凍機で冷却してmK領域のX線測定を行いCDWが起きているかどうかの実験を行った。希釈冷凍機は30mKまで到達した。しかしX線測定のために放射光を照射すると(フィルターでビームを弱めてはいるが)60mKまで温度が上昇した。KのX線測定を60mKまで測定した。現在その結果を解析中である。試料の温度と希釈冷凍機の温度がビーム照射時にずれている可能性があるので試料の温度を直接測定する方法を考案してより正確な温度測定をしたい。 4)より超低温温度領域でのCDWの探索を行うために断熱消磁冷却装置を製作中。その基本となる希釈冷凍機が平成6年3月までに設置される予定なので現在製作中の銅の核断熱消磁冷却装置を取り付けることにより平成6年度にはマイクロ・ケルヴィン温度領域でのCDW探索の実験を開始できる予定である。
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