1.準備;アルカリ金属は酸化しやすく、また銅等の金属や石英など、さらに多くの有機溶剤とも反応しやすく取り扱いに不便である。そこでその中を高真空に引け、Heガスに置換でき、中で色々な作業が出来る十分の広さのあるグローブ・ボックスを作製した。またこれを用いてK金属の単結晶作製を行ない、この試料を透明石英管にHeガスと共に封入した。 2.高エネルギー研究所・放射光実験施設で3He‐4He希釈冷凍機を用いた極低温X線測定をK金属単結晶についておこなった。得られたデーターの最低温度は約75mKであった。高温でのラウエ・スポットと最低温度でのラウエ・スポットを比較すると、或る指数のスポットで高温では観測されなかったサテライトらしきものが低温で観測され、またスポット自体も低温で割れているものが観測された。これらが我々が目的としているCDWによるものか、またはまだK金属では観測されていないマルテンサイト変態によるものか、または何かディスロケーションの様なものによるのかこれから明らかにしていく予定である。2回目の実験では温度変化も取りこれらの変化が約10K以下で生じていることが分かった。これは次に述べる帯磁率の温度変化とも対応している。 3、K金属の帯磁率の温度変化をSQUIDを用いて1。8Kから300Kまで測定した。その結果高温では温度によらずにほぼ一定の値を示し、約20Kから温度変化を始め10K付近から急激な減少を示した。これがCDWの発生による電子状態にギャップが形成された結果である可能性がある。今後の研究に期待する。 結論として;X線測定、帯磁率測定共にCDW観測の可能性を十分に示唆した結果であった。
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