研究課題/領域番号 |
05452055
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水崎 隆雄 京都大学, 理学部, 助教授 (20025448)
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研究分担者 |
大見 哲巨 京都大学, 理学部, 助教授 (70025435)
恒藤 敏彦 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30025275)
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キーワード | 固体^3He / 超音波 / 核磁気共鳴 / 核整列 / 超流動^3He / 結晶成長 / 超低温 / U2D2 |
研究概要 |
固体^3Heの核整列秩序状態は原子の直接交換相互作用により引き起こされるので、核ピストン系と格子系は強く結合している。従って、超音波とNMRと組み合せた固体^3He核整列状態(主に低磁場相に重点を置く)の研究は核整列秩序状態の詳細を調べる上で極めて重要であり、核整列秩序状態出現に伴う音速変化、音速の核整列異方軸依存性、音波の磁気音響モードや光学モードとの共鳴吸収や多重マグノン散乱吸収など多くの興味深い問題がある。固体^3Heの核整列秩序状態での超音波を用いた研究は大きな良質単結晶、単磁区の試料の方位の決定と超低温に冷却する因難さ故に今だ実現していない。本研究において以下の成果をあげた。 1.核整列状態の磁気的性質、特に低磁場相(U2D2相)でのパルスNMRによる非線型な核スピン運動の動的性質の研究を行った。単結晶でかつ単磁区構造を持つ良質な固体^3He作成に成功し、スピンの一様モードが長波長のスピン波を励起して不安定になることを見いだした。核整列秩序状態固有の多重スピン・エコーを観測し非線型双極子トルクの詳細を調べた。長年の未解決の問題であった低磁場相のNMRの負のシフトを揺らぎの繰り込み理論により解明した。2.良質試料作成方法の確立のために、超低温(1mK以下)での超流動^3Heからの核整列固体^3Heでかつ単磁区構造を持つ良質な固体^3Heを超音波セル内に成長させる特殊な試料室を設計し、液体及び固体ヘリウムでのテストを行い音速変化が数10ppmの分解能で測定できた。今後も上記の成果に基づき核整列状態の固体^3Heの結晶成長の実験を行い、結晶成長機構を明かにした。3超音波装置一式を完成させ、単結晶の超音波の実験を継続する。
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