研究課題/領域番号 |
05452058
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高畠 敏郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40171540)
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研究分担者 |
鈴木 孝至 広島大学, 理学部, 助手 (00192617)
浴野 稔一 広島大学, 総合科学部, 助手 (40185103)
藤井 博信 広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
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キーワード | 近藤半導体 / セリウム化合物 / 単結晶 / 重い電子系 / 中性子散乱 / トンネル効果 / エネルギーギャップ / 混成効果 |
研究概要 |
近藤半導体CeNiSnとCeRhSbに於けるエネルギーギャップ形成の機構を研究するために、良質な単結晶試料を育成して種々の物性測定を行った。新しく得た知見をいかに列挙する。 1.単結晶育成:Wるつぼを用いたチョコラルスキー法によって育成したCeNiSn単結晶は、以前のものに比べて不純物が遥かに少なくなった。一方、CeRhSbはMoるつぼに封入したブリッヂマン法によって、単結晶育成に初めて成功した。 2.伝導と磁性:CeRhSb単結晶の伝導と磁性に於ける異方性は、CeNiSnよりも小さい。これは、CeRhSbに於けるc-f混成がより強い事を反映している。両系に共通するのは、a軸方向の電気抵抗と帯磁率に13-20Kでピーク或いは肩を持つ事である。CeNiSnでは単結晶の質が良くなると、伝導の異方性は強くなるものの、電気抵抗の低温での上昇は緩やかになる。 3.CeNiSnのスピン相関:東大物性研の門脇等と共同で中性子非弾性散乱実験を行った。その結果、20K以下でb軸方向の1次元的な反強磁性的スピン相関が発達する事を見いだした。一方、ミュンヘン工科大のKalvius教授等と行ったμSR実験からは、14mKまでスピン相関は動的であって、Ce当たり0.01μ_Bの微少磁気モーメントが数MHzで揺らいでいる事が判った。 4.CeRhSbの電荷ギャップ:分担者の浴野がトンネル効果によってギャップの観測に成功した。24K以下でギャップは徐々に開き、8K以下で急速に成長する。2Kでのギャップの大きさは、290Kに相当するが、これは伝導から求めたギャップ6Kに比べて遥かに大きい。
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