有機伝導体alpha-(BEDT-TTF)_2I_3は室温では二次元的金属であるが、135Kで絶縁体に転移をする。この転移は、試料に圧力を印加するとしだいに抑えられ、15kbar以上の圧力下では極低温度まで金属的伝導性を保つようになる。われわれは、これに磁場をかけると、圧力によって抑えられていた金属-非金属転移が復活する現象を見つけ、その出現機構を明らかにすべく研究を行っている。 本年度は、まず、1)金属状態にある試料の電気伝導度の温度依存性が非常に小さいことに注目して、ホール効果を詳しく調べた。その結果、温度に依存しない伝導度は、温度降下とともに電気伝導担体の濃度が減少する効果と、低温になるに従い担体の移動度が大きくなる効果が相殺した結果であると結論した。この結果は、担体濃度の変化と、移動度の変化の起源が同一である可能性を示唆している。 20K以下の温度領域では磁場印加によって絶縁体転移が誘起される。この領域で2)弱磁場における磁気抵抗効果を測定し、解析を行った。弱磁場のデータは磁場によって絶縁体転移が誘起される前の金属状態に関する情報を与えてくれる。実験の結果、この領域でも、温度低下にともなって担体濃度の低下、及び、担体の移動度の上昇が起こっていることが明らかになった。3K辺りの低温度における担体移動度は数万cm^2/V.secという非常に高い値になっていることを明らかにした。
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