1.より安定な色素レーザーを製作することができた。また、フォトンエコーの測定に必要な光学遅延系の安定度についても、2光束の干渉を詳しく調べることにより、建物の振動が無視出来ないことがわかり、防震にたいする配慮を行った。 2.鉄を除いたミオグロビンにおける2パルスエコー、蓄積エコーの測定を行い、エコー信号の温度変化を詳しくしらべた。その結果、この系は極めて電子格子相互作用の弱い系であることがDebye-Waller因子の温度特性から明かになり、ほぼ10K近傍でフォノン系の影響が凍結されることが判った。エコーの時間特性はこの温度の前後で大きく変化し、高温では指数関数の減衰を示すのに対して、低温では、非指数関数的になる。この10K以下の信号波形は、Ornstein-Uhlenbeck過程によるガウス・マルコフ過程を使った理論で、極めて良く再現出来ることが判った。零フォノン線幅の温度特性から、非マルコフ性発現の原因としては、蛋白の持つトンネリング準位の分布が比較的狭い周波数範囲にあること、またその密度が少ないことが考えられる。 3.天然のミオグロビンの色素は、プロトポルフィリンであるが、この色素をメソポルフィリンに変えた試料で実験を行い、非マルコフ的フォトンエコーを再度、観測することができた。その温度特性はプロトポルフィリンの場合とほぼ同じである。
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