研究課題/領域番号 |
05452071
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八木 健彦 東京大学, 物性研究所, 助教授 (20126189)
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研究分担者 |
内海 渉 東京大学, 物性研究所, 助手 (60193918)
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キーワード | 焼結ダイヤモンドアンビル / ドリッカーマー型高圧発生装置 / 多段式高圧発生装置 / 下部マントル条件 / ケイ酸塩ペロフスカイト / 高温高圧X線その場観察 / 下部マントルの化学組成 / MAX80装置 |
研究概要 |
本年度は、当研究室で開発された焼結ダイヤモンドアンビルを用いたドリッカマー型高温高圧発生装置や多段式高温高圧発生装置と強力X線源を組み合わせ、下部マントルと同等の温度圧力条件下におけるX線回折実験を行なった。配分された研究費のうち設備備品費の大半は、当研究室に既存の高温高圧X線回折実験装置を本研究に適した形に改良するのに用いられた。 実験はまず物性研の高温高圧発生装置を用いて、実験に適した試料構成や圧媒体の開発を行なった。これらの予備実験を通して確立された最適な試料構成を用いて、筑波の高エネルギー物理学研究所のフォトンファクトリーに設置されているMAX80装置を使い、50μm角に絞った超高輝度のX線を高圧高温下の試料に照射した。その結果、従来多くのグループを試みてうまく行かなかったエンスタタイトのペロフスカイト相に転移していく様子のその場観察にはじめて成功した。さらに、下部マントル最上部に相当する温度領域まで加熱し、その結晶構造変化と熱膨張に関するデータを取ることにも成功した。 こうして得られた状態方程式のデータをもとに、下部マントル条件下におけるペロフスカイトの密度を求めたところ、鉄の量が10%程度とすればペロフスカイトの単一相で地震波の解析から得られる密度のプロファイルとかなりよい一致をすることが明らかにされた。しかし下部マントルの化学組成を正確に求めるにはさらに、鉄の含有量変化の影響、および共存する可能性のあるマグネシオウスタイトの状態方程式の精密決定などをおこなう必要のあることが明らかになった。
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