平成5年度の研究予定は、大きく分けると次の2点であった。1)3次元モデルによる非均質磁化構造の効果の解明。2)差分観測のための高精度同期システムの開発。 [3次元モデルによる非均質磁化構造の効果の解明] 地震地磁気効果を見積もるために、3次元モデルによる断層運動に伴なう磁場変化を計算するためのプログラムの開発を終了した。これは、変化磁場を計算するのに体積分を用いる方法である。 過去に解析的な研究のなされている数例の断層のタイプについて、このプログラムを用い、その断層運動に伴なう地磁気変化を調べたところ、ほぼ、解析解により示されているものと同程度の分解能を持って、地磁気変化の空間分布を調べることができるようになっていることが確認された。 しかし、上記の方法では、メモリと計算時間を非常に費やすため、研究者が、周辺のコンピュータ環境で手軽に計算をさせるには問題がある。そこで、磁化物体の表面上で面積分を実行して磁場変化を求める新しい計算方法の開発も合わせて行なった。これについては、まだ、2次元モデルによるテスト段階であり、まだ開発が終了していない。特にこの研究については次年度へ継続する。 [差分観測のための高精度同期システムの開発] 全磁力値の差分観測のため、2台のOMEGAクロックを用いたプロトン磁力計の高精度同期観測用コントロラーを開発し、そのテストを、宇治キャンパス内で行なった。また、購入したプロトン磁力計自体のテストは、短期間ではあるが、すでに保有していたプロトン磁力計とともに、ノイズの少ない能登半島周辺で行ない、0.25nT以上の精度を確認した。
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