研究概要 |
地震活動の空白域は地震活動帯の中で,時間・空間的に存在して,第四紀の火山帯と良い一致を示している。島根県東部地域はこの代表的な地域である。約1万年前まで火山活動をしていた大山と三瓶山に狭まれ,南北にも,島根半島・宍道湖・中国山脈と地殻変動が激しい地域にもかかわらず,周辺部の地震活動に比べて,空白域を形成している。西縁の活動は三瓶山付近・広島県北部の活動域があり、1977・1978年と三瓶山付近にM5.3,M6.1の地震が発生し,現在も活動が活発である。東側の地震活動は1973年の鳥取県日南町の地震M5.3があり,1980年代になると,1983年の鳥取県中部の地震M6.2,1985年の大山付近の地震M4.9,1989年から1990年の鳥取県西部の群発地震(M5.3,M5.4,,M5.1,M5.2,M5.1)が2年以上に渡って発生し,1991年に島根県東部の地震M5.9が発生した。地震活動が東から西へと移動した。これらの地震はほぼ東西主圧力で,左横ずれ断層型の発震機構を持つ。大山と三瓶山は地震活動では空白域と活動域,震源の深さも約10kmと約5kmと異なっている。山体・周辺の温泉分布でも少と多と対称的である。空白域の地下構造ではPxP波が観測され,スポット状に溶融体が地下十数kmに存在し、空白域の成立と関係していると推定される。火山周辺の地下の比抵抗構造では,三瓶山の地下の1〜2kmの浅部に低比抵抗層の存在が確認された。空白域の地下構造と周辺部の地震活動の解析により,地殻応力が東から西へと解消して行く過程と,火山に狭まれた地下構造が推定された。今後共,この地域は種々の現象に注意をする必要がある。
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