研究概要 |
従来の乱流磁力線再結合問題の取り扱いでは,数学的取り扱いの簡便さから,一流体近似に基づいた研究が行われてきたが,実際の地球磁気圏ではイオン慣性スケールでのプラズマの振る舞いが大切であり,二流体近似での取り扱いが乱流の発生成長にも重要であると考えられる。イオン慣性長のスケールでは,電子は磁場に凍結しているが,イオンはしていないため,磁気中性面でのエネルギー散逸領域からイオン音波が発生し,その波と磁力線再結合をつくるテアリングモードの波がカップルして,強い乱流場を生み出すことが予想された.我々は,二流体MHDシミュレーションを行い.この非線形過程の時間発展を追跡し,乱流場の発生を確認した.次の段階として,この乱流場が,磁力線再結合を加速する乱流抵抗としてどの程度寄与できるか,定量的な研究に着手した. 磁気圏における磁力線再結合領域には,再結合面に垂直な縦磁場成分が存在し系の構造が3次元的となるのが普通である.我々は平成四年度の研究で磁力線再結合の3次元厳密解を見いだしていたが,これは0次の磁場・プラズマ分布が中央の電流層に対し対称的である場合の結果であった。本年度の研究で,0次の分布が非対称である場合に解を拡張し,対称な場合と同様に2対の回転不連続面(RD)+2対のslow shockから構成される解に加え,2対のRD+1対のslow shock+1対のintermediate shockから構成される解の出現する場合があることを示した.さらに,上記の二流体シミュレーション,ならびに3次元解の安定性を調べるために必要な高精度数値手法の開発も平行して行った.特に,高精度数値スキーム(1流体MHD,2流体MHD)を自由境界条件を持つ開放系に対し適用することに成功した.
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