研究課題/領域番号 |
05452084
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 紘 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (00026139)
|
研究分担者 |
臼井 英之 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (10243081)
小嶋 浩嗣 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (10215254)
大村 善治 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (50177002)
|
キーワード | 磁気圏尾部 / GEOTAIL / プラズマ波動 / 計算機実験 / 磁気圏境界層 / 広帯域静電ノイズ / 波動粒子相互作用 / 静電孤立波 |
研究概要 |
1992年に地球磁気圏尾部探査を目的とした科学衛星GEOTAILが打ち上げられ、これまでに興味深い現象が観測されている。従来、磁気圏尾部における波動のActivityはかなり低いのではないかと予想されていた。しかし、GEOTAILによる観測では、それとは逆に尾部での波動現象は非常に活発で、広帯域静電波、磁気ノイズバースト、電子サイクロトロン高調波、AKR、Type-IIIバースト、Continiuum Radiation等が観測されている。このような波動の発生メカニズム、波動粒子相互作用、非線形発展について、GEOTAILのデータ解析及びそれに基づく計算機実験により定量的考察を行なうことが本研究の目的である。 GEOTAILの観測結果の中で、もっとも興味深い観測の1つが広帯域静電波の波形観測である。広帯域静電波はこれまでスペクトルのみで観測されてきたが、今回の波形観測により、周波数空間で広帯域に見えるスペクトルはスパイク状の波形の集まりであることが確認された。このようなスパイク波形は、あるポテンシャル構造が衛星の周辺を次々に通り過ぎていく際に観測されていると考えることができる。この点をふまえて、ポテンシャル構造の発生原因についてプラズマ2流体不安定性の計算機実験を行なった。広帯域静電波の波形には大きく分けて3種類あり、それぞれの違いは2流体不安定性によって生じるポテンシャル構造の非線形時間発展の違いによるものであると思われることが明らかになった。すなわち、不安定性により発生したポテンシャル構造は、最終的にはBGKモードといわれる安定な定常解的な構造に落ち着くことが明らかになった。この時の電界波形は孤立したスパイク状のものであり(静電孤立波)、観測データとの定性的な一致を示す。このように、広帯域静電波が静電孤立波からなるということを波形観測および、簡単な1次元計算機実験により示すことができた。今後は観測で得られた粒子データ等を参考にし、ポテンシャル構造のプラズマパラメータ依存性について考察を深めていきたい。
|