研究課題/領域番号 |
05452086
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
周藤 賢治 新潟大学, 理学部, 教授 (50143748)
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研究分担者 |
加々美 寛雄 岡山大学, 地球内部研究センター, 助教授 (20108179)
志村 俊昭 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (70242451)
藤林 紀枝 新潟大学, 教育学部, 助教授 (20238603)
宮下 純夫 新潟大学, 理学部, 助教授 (60200169)
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キーワード | Sr同位体比 / Nd同位体比 / 東北日本弧 / Zr / Y比 / HFS元素枯渇化 / OIBソース / MORBソース |
研究概要 |
東北日本弧の漸新世以降の火山岩類のSrおよびNd同位体組成のデータに基づき、東北日本弧の上部マントルには同位体的に2つの異なるソースが存在することが研究代表者らによって提唱された。一つは同位体的に非枯渇的なソース(島弧マントル)でもう一つは枯渇的ソース(15Maあたりに背弧側へ上昇したアセノスフェア)である。背弧側に産する約35‐15Maの玄武岩および海溝側に産する21Ma以降の玄武岩は非枯渇的島弧マントルから生成されたのに対して、背弧側に産する15Ma以降の玄武岩は枯渇的ソースから生成されたものと考えられる。さらに、漸新世以降の玄武岩質岩のHSF元元素間の比の時間的変化を検討した。非枯渇的ソースに由来する玄武岩のZr/Y比は35Ma以降時間とともに減少するのに対して、Ti/Zr比とZr/Nb比は増加傾向を示す。枯渇的ソースに由来する玄武岩質岩も上記玄武岩ほど明瞭ではないが、これらの比は似た減少または増加傾向を示す。各時代の玄武岩類のなかで未分化な玄武岩(最も低いZr/Y比を有する)を2Nb‐Zr/4‐Y図中で検討すると、非枯渇的ソースに由来する古い玄武岩は海洋島玄武岩の性質を示し、やや若いものは中央海嶺玄武岩の性質を示す。また、第四紀玄武岩では中央海嶺玄武岩よりもHFS元素に枯渇した性質を示すことが明らかとなった。これらの事実に基づき、東北日本弧の非枯渇的島弧マントルは、漸新世以降、OIBソース的なものからN‐MORBソース的なものを経て現在のHFS元素に枯渇したソースに変化してきたことを議論した。これは、漸新世以降の断続的な玄武岩質マグマの生成により、島弧マントルがインコンパティビリティの高いHFS元素に漸次的に枯渇してきたことによるであろう。
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