研究概要 |
1.四国中央部,紀伊半島,中部地方および関東山地の三波川変成岩露出地域の地質調査と試料の採取を行った. 2.四国中央部の,秩父帯,みかぶ帯,および三波川帯の弱変成岩から高度変成岩について系統的試料採取を行い,泥質岩中の炭質物の電子顕微鏡(TEMおよびSEM)による微細組織の観察,石墨化度の変化を検討した。その結果,低変成度での結晶度の低い球状あるいはリボン状の形態をした炭質物が,ざくろ石帯以上(約400℃以上)の変成度で六角板状の石墨へと変化するのが追跡された. 3.三波川泥質変成岩中の変成ざくろ石の累帯構造について,本研究で購入したエネルギー分散型X線分析装置の反射電子線像観察,元素カラーマッピングの手法により, 1)逆累帯構造を示すざくろ石の分布の解明とその成因の考察 2)融食-再成長を組織を示すざくろ石の発見と成因の考察 3)セクト累帯構造様組織を示すざくろ石の分布の解明と成因の検討 を行った.上記1)〜3)のざくろ石は,三波川帯高変成度部に貫入するテクトニック・ブロック岩体の周囲に限って特徴的に出現することが明らかになり,テクトニック・ブロック岩体が三波川変成作用に熱的影響を与えた可能性がでてきた. 4.四国中央部三波川帯中のテクトニック・ブロックである五良津岩体について,地質調査と岩石学的検討を行い,そのP-T-t経路の詳細を明らかにした.
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