研究概要 |
本研究の目的は、金属水素化物の種々の物性(電気特性、磁気特性)を大型良質の単結晶を使って追及することである。典型的な金属水素化物である希土類-遷移元素金属間化合物(LaNi_5,LaCo_5,GdFe_3,Gd_6Fe_<23>,Mg_2Ni,NdCo_5,YCo_3,Y_6Fe_<23>,etc.)を母体とする三元水素化物を対象とした。 母体である単結晶金属間化合物はトリアーク法によって引き上げた。ラウエ写真は単結晶が良質であることを示し、最大8mmφ×20mmlの大型単結晶を引き上げることに成功した。 不安定な(平衡圧の高い)高濃度金属水素化物の電気抵抗をin situに測定する新たな方法を開発した。Mg_2Ni金属は水素化によって半導体に転移することや、抵抗率の温度依存性から半導体水素化合物Mg_2NiH_<3.1>のバンドギャップが0.056eVであることを明らかにした。 GdFe_3H_Xは水素濃度xの増加とともに格子定数が増加し、水素化物の補償温度は280Kから161Kまで減少した。この化合物の磁気構造はフェリからconeに、さらにフェロへと磁場強度に対応して変化した。ここで第1臨界磁場は24.7Tから13.0Tまで減少した。得られた交換結合定数の値から交換相互作用の強さが水素に強く依存していることが明らかになった。
|