研究概要 |
GaNを中心とするIII族窒化物半導体、AlGaN,GaN及びGaInNは、室温で安定相であるウルツ鉱構造を形成する場合、全て直接遷移型バンド構造を有し、しかもそのバンドギャップが室温で1.9eVから6.2eVと広範囲に亙ることから、特に400nm台の可視短波長、及び紫外光のレーザダイオードの実現、或いはフルカラー発光ダイオードの実現にとって有望である。通常、III族窒化物半導体はサファイア基板上に作製するが、サファイアが絶縁性であること及び堅牢であることなどから、加工の容易な低抵抗材料基板が望まれていた。Siは加工及び低抵抗化が容易であるため、有望な基板用材料である。しかしながら、III族窒化物とSiは結晶構造或いは原子配列周期が異なるため、高品質結晶の作製は容易ではなかった。本研究では、本科学研究費の補助などにより、【.encircled1.】Si基板上への高品質結晶作製のためのMOVPE装置の作製、及び【.encircled2.】Si基板上への高品質結晶作製法の確立を目的として研究を行った。その結果、1.二層流横型MOVPE炉の導入により、極めて制御性のよい成長が可能となった。また、2.GaN、AlGaN或いはGaInN成長の前に、比較的高温でSi基板上にAlNを中間層として成長することによりサファイア基板上と同程度の高品質結晶の作製が可能であることが明かとなった。しかしながら、熱膨張係数の違いによりクラックが発生してしまうこともわかり、現在までデバイス作製には成功していない。今後、クラック発生を抑制する方策を検討していく予定である。
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