意図的に微量の重金属不純物Cuで汚染させたFZ Siウエハーを作製し、既有のフォトルミネッセンス測定装置により、試料のフォトルミネッセンス・スペクトル測定およびマッピング測定を行なった。出発材料として、軽元素不純物のNを含む ウエハー、有転位ウエハー、スワール欠陥を含むウエハーを用い、重金属関連フォトルミネッセンス信号への影響を調べた。その結果、固溶状態に近い形態のCuに起因すると考えられる新しい発光帯の検出に成功し、その特徴的な結晶内分布を明かにした。その結果、転位およびスワール欠陥との相互作用に関して多くの知見が得られ、重金属不純物関連欠陥の制御への貢献が期待される。本実験の過程で、重金属不純物による汚染度のコントロールが非常に困難であり、フォトルミネッセンスによる定量分析法の開発を進める上で、障害となることが判明した。 軽元素不純物のなかでとくに重要である酸素不純物について、その析出の初期凝集形態であるサーマルドナーのフォトルミネッセンスによる評価を行なった。CZ Si結晶育成中に融液から引き離し、急冷させることによって点欠陥を凍結させた試料のフォトルミネッセンス解析より、450℃近傍の熱処理において空格子は酸素凝集を遅らせる働きがあることを明らかにした。 既有のフォトルミネッセンス測定装置に本度設備備品の散乱光集光光学系を付加することにより、微弱信号の高感度検出化、マッピング測定の高空間分解能化を図った。
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