研究概要 |
本年度は初年度として,埋もれた金属(半導体)/半導体界面の構造と物性の研究をするための基本装置としてナノプローブ電子顕微鏡を整備した.界面を1000万倍の高分解能像で捉えながら,必要な箇所に直径1-2nmの極小電子線を絞り込み,その場所からのナノ回析図形やナノ電子エネルギー損失分光スペクトルを得るために,電子線の収束系を改良し,また記録装置として,TV-画像処理装置-デジタルビデオ装置を整備した.またこのビデオデータはパソコンに転送して,FFT処理によりスペクトル解析や強度分布が簡単に得られるようになっている. 試料としては,各種半導体超格子の劈開試料のほかに,AU/Siの界面観察用試料を,Si蒸着膜の端面にAuを蒸着する方法で作製する開発実験を行なった.現在その試料の高分解能電子顕微鏡による界面の構造の評価をしている.またPbS/PbTe,PbTe/MgO界面試料について干渉性収束ナノ電子回折を行なった.この方法1992年英国で単結晶に対して実験が行なわれたが,人工の多層膜に適用されたのは世界ではじめてである.またこの干渉性収束電子回折図形を定量的に解析するために,マルチスライス法によるシミュレイションプログラムを開発した.これらの成果は,第1回半導体界面国際会議に発表し,電子顕微鏡国際学術誌にも投稿予定である.
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