研究課題/領域番号 |
05452103
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川合 知二 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20092546)
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研究分担者 |
金井 真樹 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (50243267)
北浜 克煕 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20029903)
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キーワード | レーザーアブレーション / 強誘電体 / 超格子 / SrTiO_3 / BaTiO_3 / 歪格子 |
研究概要 |
SrTiO_3とBaTiO_3を各積層厚さを1ユニットセル(4A)ずつから250ユニットセル(1000A)ずつの周期でc軸方向にエピタキシャル成長させトータル2000Aの多層膜を作製した。この格子定数を測定したところ積層の周期が薄くなるにつれて、SrTiO_3のc軸は縮んでBaTiO_3のそれは伸び、逆にSrTiO_3のa軸は伸びてBaTiO_3は縮んでいた。これはバルクでのSrTiO_3のaパラメータは3.905A,BaTiO_3のaパラメータは3.988Aであるため格子のミスマッチにより結晶歪みが導入されたためである。さらに数十A以下では超格子構造が見られた。 誘電率測定の結果、格子定数の変化に伴い積層厚さが薄くなるに従って数十A以下で比誘電率が急激に増大していることが分かった。このように積層厚さを薄くしていくと、格子歪みが大きくなりそれに伴って正方晶の性質が強調されていくために比誘電率が大きくなっていくものと考えている。さらに興味深いことはこの超格子の誘電率の温度依存性で、固溶体(Sr_<0.5>Ti_<0.5>O_3)の単相膜では30℃付近でシャープな相転移が見られ比誘電率の減少が起こるのに対して超格子では歪み効果のため正方晶の状態が保持され固溶体のような相転移は見られない。 このように超格子にすることによって室温よりはるかに高い温度まで高い誘電率を保持するものを作製できたことになる。強誘電体超格子は超強誘電体と呼ぶにふさわしい新しい物質群を創造する有力な手法になると結論した。
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