研究概要 |
本年度の主要な目的は実験装置の開発であった。より清浄な表面で実験を遂行するための極高真空実験装置の開発,高温での試料清浄化と低温での気体の吸着を両立させるための試料ホルダー,データ収集を効率的に行うための偏光解析測定系の自動化を実現することが鍵となる点であった。各方面からの情報収集,設計上の,および実験を行いながらの試行錯誤の結果,現在それらが実現可能であるとの目処を得た。以下のような実験装置の設計・製作と,実験装置の調整を行った。 1.20K程度まで冷却可能なヘリウムガスフロー型の試料ホルダーを設計し、製作中である。 2.上記の試料ホルダーと既存の超微小電流低速電子線回折装置を取り付ける極高真空容器を設計した。製作は京和真空機器製作所にを依頼し,すでに完成している。より清浄な真空を得るため,いくつかの内面処理の方式を検討の結果,三愛石油(株)に依頼して電解研磨を施した。 3.既存の偏光解析装置の光学系を自動測定が可能なように改良した。パーソナル・コンピュータとPID制御器を組み合わせた自動測定装置を構成し,時間応答,測定精度の向上を目的に制御プログラムの開発を行った。 4.まもなく,装置が組上がり,極高真空(10^<-10>Pa台)の達成を目標に装置の立ち上げを行う。 この後,Pt(111)単結晶表面上のAr,Kr,Xeを測定対象として実験を行う。初めは実験を行いなら,装置の最適化のための種々の改良を進め,実験手法を確立してから本実験に移行する予定である。
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