研究概要 |
サブミリ波領域の電磁波の高効率な発生・検出システムの実現において,周期ドメイン反転光学結晶による疑似位相整合(Quasi phase-matching:QPM)を用いた非線形相互作用は,整合条件が広く,かつ高効率な点が大きな特徴である.我々は,サブミリ波帯の開拓を目的として,主にバルク型ドメイン反転非線形光学結晶におけるQPMを用いた研究を理論的・実験的に進めている. まず,近赤外域レーザ光のドメイン反転光学結晶中での混合において,入射光と出射光との間の位相整合をとる手法として疑似位相整合を用い,高効率化のための条件を検討した.また,サブミリ波発生におけるパワーなどについて具体的な理論解析を行った. 次に,ドメイン反転光学結晶の作成法については,積層スタック法と直流電界印加によるドメイン反転法について検討した.その結果,波長400μmのサブミリ波に対して,直流電界印加によるドメイン反転法によりLiTaO_3の結晶基板上に周期140μmのドメイン反転構造を実現し,光学顕微鏡,走査型電子顕微鏡を用いた評価により良好なドメイン反転光学結晶が得られたことを確認した. さらに,非線形光学係数が比較的大きい半導体材料に着目し,パラメトリック発振における位相整合条件を検討し,サブミリ波の発生について実験的検討を行った.また,サブミリ波検出システムに関しては,本研究所において開発されたショットキーバリアダイオードやパイロ検出器などにより高感度・高速応答の検出系をシステム化した.
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