ピコ秒光パルスに画像データを運ばせ、その記録、読み出し、処理をフォトリフラクティブ結晶を使って行う研究を進めた。 はじめに、情報の読み出しの実験を行った。アルゴンレーザーを用い、チタン酸バリウム結晶中にホログラムを書き込む。次に読み出し光を入射させ、入射角を変えながら回折光の振幅と位相を測定する。回折光の計測では測定精度を上げるためヘテロダイン方式を用いた。回折光のデータを使い、回折の逆問題を解くことにより、結晶内の屈折率格子の包絡関数を計算で求める。記録媒体が3次元的な広がりを持つので、読み出し波と回折波の光結合を正しく考慮する必要がある。 つぎに、ピコ秒レーザー光(モードロックNd:YAGレーザー、波長532mm、パルス幅3.5ps)を用い、空間的に強度分布を持つピコ秒光パルスの全体像(空間座標2次元、時間座標1次元)をフォトリフラクティブ結晶中にホログラムとして記録し、それをヘリウムネオンレーザー(波長633mm)で読み出すことを試みた。記録材料としては記録保持時間の長い(暗所に保存して1ヶ月以上)ニオブ酸リチウム結晶を用いた。この実験ではホログラム記録の信号パルスと参照パルスが同一のパルスであるためパルス波形そのものではなく振幅の自己相関が記録されるが、情報を読み出した結果、自己相関関数が記録されていることが確かめられた。以上の実験により、ピコ秒画像をフォトリフラクティブ結晶中に記録し、それを読み出すことの可能性を実証した。
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