ホットウォール法による発光素子材料の開発

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05452111
• 研究機関: 静岡大学
• 研究代表者: 藤安 洋 静岡大学, 工学部, 教授 (60022232)
• 研究分担者: 疋田 京子 静岡大学, 工学部, 助手 (00252164) ; 石田 明宏 静岡大学, 工学部, 助教授 (70183738)
• キーワード: Thin film / II-VI compound film / Electroluminescence / Superlattice / II-VI compound

研究概要

EL素子の作製・評価:ロードロック真空装を用いてCdTe、CdTe-ZnS薄膜を作製が可能となった。(1)超格子赤色EL素子としては、Mnイオンへの歪み効果を調べるために、ZnSとCdSより格子不整合の小さいZn_<0.88>Cd_<0.12>S(Mn)-ZnS超格子発光層EL素子を作製した。その結果、PL及びEL両スペクトルとも赤色移動は生ぜず、赤色移動の原因はやはり、格子歪みによるという実験データをうることができた。2)SrS(Ce)青色発光素子に関しては、各層厚が約100nmのSrS(Ce)-ZnS多層膜発光層を有するEL素子を作製した。既に報告されている同じ構造の高輝度素子とことなり、本研究ではSrSとZnSの大きな格子不整合(10%)に起因して生ずる格子欠陥の発生を抑制するために約1nmの層厚である薄膜SrS-ZnS多層膜をこれら厚膜多層膜の界面に導入した。その結果、輝度-電圧特性に関しては、従来と比較し、より急峻な立ち上がり特性を観測し、また輝度の寿命も大幅に改善された。輝度も300cd/m^2とに改良され、実用化へ前進した。青色レーザ素子の作製:レーザ素子構造にはダブルヘテロ構造が有効であるが、異種層、p-n層或いは電極層との界面汚染はさける必要があり、本年度はp型ZnTe、ZnTe-ZnSe超格子用、n及び型ZnSe(CdSe),ZnSe-ZnS(CdSe)超格子用、電極用、ホットウォール製膜装置を真空基板搬送装置で繋ぐシステムを立ち上げた。資料導入・取出し口等の大幅な装置の改善後、p型ZnTe膜,p及びn型ZnSe膜、CdSe-ZnSe超格子の作製が可能となった。既にこれら薄膜及び超格子のp,n制御は前年度に確立されており、本システムによるレーザ素子作製も時間を待つだけとなった。

研究成果

• [文献書誌] 藤安 洋: "量子井戸・多重構造EL素子" ディスプレイ アンド イメージング. 3. 215-223 (1994)
• [文献書誌] K.HIKIDA: "Properties of Bright Red Electroluminescenct Devices Using Manganese Doped II-VI Strained Layer Super lattices" Proceeding of 1994 International Workshop on Electroluminescence Beijing,China,Oct.10-12,1994. (1995)
• [文献書誌] H.FUJIYASU: "Red Electroluminescenct Devices with High Brightness Fabricated by Highly Strained Layer Superlattices of Mn-doped II-VI Compounds" Technical Digest of Int.Symposium on Inorganic and Organic Electroluminescence.Hamamatsu,Japan Oct.5-6,1994. 64-69 (1994)
• [文献書誌] Y.NAKANISHI: "SrSe:Ce,SrS:Ce and Their Multilayer Structures for EL Devices" Technical Digest of Int.Symposium on Inorganic and Organic Electroluminescence,Hamamatsu,Japan Oct.5-6,1994. 70-74 (1994)
• [文献書誌] S.SAKAKIBARA: "Characteristics of Chlorine-doped ZnSe Films and ZnSe-ZnS Superlattices Grown by Hot Wall Epitaxy"
• [文献書誌] Jpn.J.Appl.Phys.33. 2008-2014 (1994)