研究概要 |
1.施光性が最大となる(100)面を利用した前年までのAgGaSe_<>およびAgGaSe_2単結晶フィルターの帯域幅はそれぞれ3nmおよび4.5nmであった。より小さいラマンシフトをもつ散乱線を測定するために(100)面から(110)面方向に約40°の方位で切り出したAgGaS_2単結晶を用いて作製したフィルターにより帯域幅0.5nmの超狭帯域の結晶フィルターを開発した。この成果は1994年8月に香港で開催された第14回ラマン分光国際会議で報告され注目を集めた。 2.本研究で開発した簡易ラマン装置を用いたラマン分光の実際の測定としてCuGaS_2単結晶の共鳴ラマン効果を低温で測定した。CuGaS_2のΓ点バンドギャップを励起できるアルゴンレーザーの476.5nmと488.0nmライン(わずかに1mW)を用いた結果、27本のマルチフォノンによる共鳴散乱線を1.6cm^<-1>の分解で測定することができた。この結果はカルコパイライト化合物では報告されていない新しい発見であり共鳴ラマン現象の解明の糸口となる研究課題を見いだしたことになる。この成果はJJAP(応用物理学欧文誌)の一般論文として投稿中である。 3.結晶フィルターの作製およびカルコパイライト化合物のマラン散乱解析には方位を正しく決定した切断した(100)(110),(001)の各面が必要である。ここではX線法による方位の決定に替る簡便な方法としてカルコパイライト化合物結晶の2色性波長における光学透過測定のみを用いた(001)面の決定方法を考案し実際に結晶の方位決定を行った。この結果はJJAP(応用物理学欧文誌)のショートノート論文として投稿中である。
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