研究概要 |
本研究ではプラスチック光ファイバー増幅器の理論的解析を手始めに基本的問題に取り組んだ点が強調出来る.即ち,有機色素を低濃度で固体プラスチック中にドープした場合のポンピング光の吸収断面積および誘導放出断面積を測定より推定し,これによりレート方程式を解析した.結果として例えばロ-ダミンB,Gの2種の蛍光色素の場合に理論的には信号光を540-600nmの波長域で100倍から約2000倍程度の増幅が期待できることが分かった.次にファイバー中にグレーテングを作り付けこれにより同調機能を付与して発振器プラス増幅器の一体化を考えた.これについて基礎的な実験を試みている.既に一部に完全ではないが周期的構造を実現できファイバー端からにスペクトルの狭まりを観測している.現在,欧米ではシリカファイバに様々な方法により周期構造を作り付ける研究が激しく展開されているのに対し我々の研究は独特の位置つけになっている.導波路型リングレーザの基礎実験ではクマリン色素をポリビニルアルコールにドープして窒素レーザでポンピングし短距離リング共振器からの出力に特有のスパイク構造発振を観測した.今年度に新たに医療関係へのレーザ応用に結びつく可能性を考慮してプラスチックファイバ光増幅器の生体特に癌組織の診断・治療に適用出来るかどうか検討している.現在これらの目的に考えられている装置は高価で取り扱いにくいものが多くこの点からも今後期待できる.
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