研究計画に照らして、下記の結果を得た。なお、サイクロトロンの開発が、当初の計画より大幅に遅れ、平成6年5月に予備実験が行えたが、その直後に、開発を行っていた会社の社長が急死し、その後開発者の方針で、別会社にサイクロトロンを移設する必要が生じ、現在まで、サイクロトンによる実験は行えない状況であった。そのため、検出器の特性等は、X線発生装置を用いて取得されている。また、当初予定していたセメントにおける3CaO・SiO_2と2CaO・SiO_2の混合比の定量分析は、今後加速器が稼働され次第行う予定である。 1)a-Siイメージセンサについて、キャノン製と鐘縁化学製のセンサについて、5.4keVの単色X線により、X線強度に対する比例性、位置分解能、暗電流の安定性、およびX線感度などについてのデータを取得し、キャノン製が適していることが分かった。 2)有感領域の幅が広いa-Siセンサを特注して製作するのが困難であったので、TI社製のCCDによる二次元X線検出器および信号処理装置を製作し、蛍光体を用いないで、直接X線を検出する方式により、5.4keVの単色X線により、位置分解能、およびX線感度などについてのデータを取得した。また可視光により、照度に対する出力の比例性や暗電流の安定性に関するデータを取得し、検出限界の評価を行った。CCDを冷却する装置も製作したが、加速器と一体となった真空容器中で行う必要があり、上述の理由により、冷却した場合のCCDの特性は、取得されていない。 3)これまでの結論として、X線強度が十分に得られる場合には、多くの元素が同時に分析出来るa-Siセンサの検出器が有効である。また、特定のエネルギーピークを、高いエネルギー分解能や検出感度で分析する必要がある場合には、冷却型CCDの検出器が有効である。
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