1.多くの異なる技術・科学の分野、多くの異なる国、多くの異なる歴史的時期に分散している従来の研究、特に、電気回路理論、構造力学、社会工学等の分野における文献調査を行なった。電気回路理論、制御理論などの分野においては、歴史的にかなり古くから多くの着想が提出されていたが、現在では忘れ去られたものも少なくないこと、また、構造力学の分野では最近自動微分的な感度解析技術に対する関心が高まりつつあることなどが判明した。 2.研究代表者が構想する感度解析の総合的理論体系を構築・詳細化し、国内・海外の他分野の専門家の意見を広く聴取するとともに、構想の評価もしてもらった。これは、体系の改良に大いに役立った。 3.研究代表者、分担者が開発しつつある高速自動微分法を応用した大規模システム感度解析技術と伝統的な感度解析の諸手法との異同、補完関係を理論的、計算実験的に解明することに努めた。また、部分的にではあるが、大規模な計算実験も開始した。 4.システム解析だけを行なう場合と、感度解析も合わせて行なう場合とで、後者の計算量の増加分を低次のオーダーに止るような計算法が、かなり一般的なシステムモデルに対して存在することを示すことができた。 5.感度解析用のソフトウェアのあり方について予備的検討を進めた結果、今までから一歩進めて、「数値」そのものを表現するために、通常の浮動小数点数はもちろん、区間数、指数部長可変浮動小数点数、冪級数展開で表現された関数など、多様なデータ型が統合されていることが重要ではないかという結論に達した。そのためのソフトウェアシステムの試作も開始した。 以上の成果は、一部は別項の表の通り発表し、残りは発表準備中である。
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