赤外線映像による材料強度等の評価手法は、従来の実験応力解析法あるいは非破壊検査等とは原理を異にする新しい方法で、研究代表者らは独自のアイデアによりその可能性を探ってきた。本研究ではこれまでの研究をさらに発展させ、実験-計算ハイブリッド手法を用いた新たな欠陥検知システムの開発を行うことを目的とした。以下に具体的な研究成果を示す。 1.鋼構造物中のき裂を検知するため様々な加熱方式を試み、高周波加熱法が最適であることを確認した。 2.赤外線映像装置に拡大レンズを取付けることにより、2.0mm以上の疲労き裂の検知が可能であることを明らかにした。 3.き裂をより鮮明に浮き上がらせるため、赤外線映像装置から得られる熱画像データをエンジニアリングワークステーション上で画像処理する、欠陥検知画像処理エキスパートシステムを開発した。 4.ハニカム構造材料の欠陥検知手法として種々の加熱方式を試み、シリコンラバーヒーターを用い均一に加熱することを工夫した方法が最適であることを明らかにした。 5.ハニカム構造材料製造過程で起こりうる様々な欠陥に対し、本手法が有効に欠陥検知できることを確認した。 6.ハニカムコアと同程度の大きさの接着不良(欠陥)の検知が可能であることを明らかにした。 7.き裂の欠陥検知画像処理エキスパートシステムをハニカム構造材料の検知システムに応用し、はく離欠陥を鮮明に検出することに成功した。 8.建築構造物の壁面タイルのはく離、また欠陥部の検知の基本条件を定めるため、各種自然条件(四季の変化、日射量の変化、風速の変化、タイルの日射吸収率等)を取り入れられる、欠陥を持つ壁の3次元熱伝導シミュレーションシステムを開発した。
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