| 研究概要 |
本研究では,高温構造のクリープ-疲労過程に対して,損傷力学と有限要素法に基づく局所的破壊解析法を展開し,部材の劣化・損傷から巨視的き裂の発生・発達に至る全過程を正確に解析する手法を開発する.これとともに,この解析の妥当性を実験的に検討する.
本年度の研究実績は次のとおりである.
1.損傷力学と有限要素法に基づく局所的破壊解析法により,円孔切欠ならびに鋭いき裂を持つ試験片中のクリープ損傷過程を解析し,数値解析上の問題点を検討した.
2.クリープき裂進展に対する局所的解析法における有限要素依存性の主な原因は,大変形に伴う変形の局所化よりも,破壊要素先端への損傷と応力の集中にある.このため有限要素依存性は,損傷の非局所平均化,塑性変形の導入によるき裂先端応力値の制限等によって改善することができる.
3.しかし,この問題に対する本質的な解決のためには,損傷発展式の特異性の回避方法と非局所的破壊基準の構築が重要となる。
4.高温構造材料の疲労損傷に対する局所的解析法を展開するため,本研究室既設の複合負荷電気-油圧サーボ式材料試験機により,316ステンレス鋼の平滑ならびに切欠試験片中に対して疲労損傷実験を行い,Chow-Wangの損傷理論によってそのモデル化を試みた.
5.上記1.〜3.の局所的破壊解析法の妥当性を検討するため,損傷発展式の材料定数決定のための長時間クリープ試験を実施中である.
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