研究概要 |
今年度は,光硬化性樹脂を結合剤として滴下塗布されたセラミック粒子間のUVレーザスポットによる接合現象を観察し、稠密状態で硬化・結合するための固化機構を検討した. (1)セラミックス粒子層への樹脂塗布技術の確立 セラミックス粒子層へ感光性樹脂をインクジェットノズルにより顆粒化噴射し,選択塗布する装置を開発した.この装置により樹脂の塗布が可能であることが確認され,アルコールで希釈し粘性を低下させる必要があった.粘性の低い樹脂を用いて再度検討する必要がある. (2)レーザスポット照射による選択硬化と接合現象の解析 樹脂に塗布した粒子層膜に紫外線光(He-Cdレーザ)スポットの照射掃引を行い,セラミックス粒子間の接合の状態を顕微鏡で観察するとともに硬化幅・硬化深さの測定を行った.その結果,走査速度を増加させると線幅が細くなり,また硬化深さが浅くなる傾向が見られた. (3)立体造形性の検討 造形した平面形状硬化層上に,被覆粒子を散布し,これらにさらにレーザスポットを照射し,この操作の繰り返しによる立体形状の創成加工技術を開発した.開発した装置により得られた立体造形物は,各層が傾いて積層されている状態が観察された.これは各層の準備段階で被覆粒子を散布・平滑化する際に,硬化に用いられなかった未硬化樹脂が平滑に伴う粒子の移動を妨げ,層厚さの不均一性を招いていると思われる.粒子層への不要樹脂の抑制と,平滑化機構の開発が必要である. (4)二次焼結時の収率支配因子の検討 現時点では二次焼結は行えずにいるが,成形体の比重を測定することで,充填率の見積りを行った.セラミックス粒子の真比重(焼結体・単結晶の比重に相当)が3.8,成形体の比重2.3であった.
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