研究概要 |
今年度は,超高真空中での極微細加工における特異現象を究明するため,加工,測定,観察及び評価といった一連の作業が同一システム内で可能な超高真空微細加工評価システムを構築し,その基礎性能を評価した.成果の概要を次に示す. (1)試料の移動,微細加工,加工反力測定,加工面観察及び加工面評価などの一連のシステムを兼ね備えた原子間力顕微鏡(AFM)一体型微細加工評価装置を設計,試作した。試作装置では,とくに超高真空中で駆動する各種の新しい機構を取り入れ,小型軽量で高性能化を実現した. (2)試作した微細加工評価装置の超高真空下での挙動及び性能を調べ問題点を抽出すると共に,その解決策を検討し改善した. (3)試作システムを用いて大気中と超高真空中で微細加工を行った後,AFMの機能を用いて加工面を観察し,超高真空中での加工現象の特異性を抽出した. 当初の研究計画に沿って,目的とした成果が得られている.次年度は,試作した超高真空対応原子間力顕微鏡一体型微細加工装置を用い,超高真空雰囲気中での微細加工現象の本質を理解するための基礎実験を予定している.さらに,大気中での酸化や吸着がない清浄な新生面の特徴を把握するとともに,超高真空中で得られる極めて清浄かつ活性な新生面の応用を考慮して,新生面が安定して得られる加工手法及びその制御法を検討する.
|