研究概要 |
昨年度設置したブロワ-形連続投射装置ならびに付帯設備により試験能力がこれまでより抜本的に改善され,目的とする実験が順調に進められた. まず,平板の走査形投射において全面投射と同じ成形効率を得ることのできる有効投射密度が比較的低い密度条件下に存在し,その最大値である最大有効投射密度の活用が有用であることを示した. 次に,形材の代表として半円管材をとりあげ,曲げ変形の実現をはかった. 一方向からの投射では半円管の側面への投射エネルギーが急激に低下し,側面部に曲げひずみを与えることが不可能なことを確認し,半円管材の各部に垂直な投射を行えるよう軸まわりに回転させる装置を作成した.ついで,曲げひずみ分布を得るために必要なエネルギーが半円管材に対しサインカーブを描くことから,このエネルギー分布を与える方法として試料の軸まわりの回転速度を制御することを試みたが,適正条件を見つけることができなかった. このため,サインカーブを持つマスク穴を用意し,投射域の大きさを変える方法を試みた結果,その有効性が認められたが,なお盛り上がりによる断面形状のくずれが問題となった.そこで,曲げ方向へのひずみを有効に生じさせるためにはマスク幅を狭めて薄い凸レンズ形のマスク穴の数を増やすことが役立つことを確認した後,一つのマスク穴で試料回転と送りを連続的に行う方法により断面形状のくずれのない滑らかな半円管材の曲げを実現した. これらの結果を基に,さらに,マスク穴形状を凹レンズ形に変更し逆方向曲げができ,複曲面が成形されることを示した. これらの成果は塑性加工学会春季講演会への発表を予定している.
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