研究概要 |
本加工法が圧縮性の加工法であるため,難加工材の成形に対して有効である点は既に明らかにできたが,基礎的な単曲面の曲げにおいても,所望の形状に規定するための適切な方法が得られていないことと,曲げ線の両端面におけるだれ込みの抑制の問題が残されていた。そこで先ず,投射部の曲げ角に対する表面伸び量が既知の場合,試料投影長さと曲げ角が1対1に対応することに着目し,新たに試料長さに追従できる試料保持具を考慮して形状規定を検討した.その結果,対象材料に対する予備ピ-ニング試験により求めた表面伸び量を基にした実験式を作り,試料投影長さを規定することにより,所望の曲げ角を得ることができることを示した. 次に,表面投影についで裏面投射をすれば,投影ひずみ分布のうち曲げ成分が打ち消されて展伸モードが実現できることに着目し,これを曲げ端面のだれ込みの抑制に生かすことを検討した.そして,表面投影に伴うだれ込みが一定割合の裏面投射により消えることを示した. さらに,本加工法の実用生産への応用として,海外で航空機の主翼の曲げが行われていると報じられているが,これに関するデータが公表されていないことから,平板の複曲面曲げに相当するくら形形状の曲げを試みた.昨年度,半円管材の曲げに対して,高さ方向下端に向けてcos曲線に沿って広がる投射域が得られるようにマスキングして,表面側を投影することにより,くら形成形が実現できることを示した.ここでは,平板から出発して,第1投射として凸曲げを行った後,裏面から曲げ線を垂直に交叉させ、しかも端へ行くほど広がった投射域ができるようにマスキングして第2投射を与えれば、くら形成形が実現できることを示した.このとき生じる端面のだれ込みに対しては、逆の面を一定の割合で交互に投射することにより防止し,第1変形の曲げ角を変化させることなく高能率で所望のくら形形状が成形できることを示した.
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