本研究は、軟X線、極紫外放射の結像系に使用される、放物面、楕円面、トロイド面等非軸対称非球面の形状を、平面や球面と同等の精度で計測可能にすることを目的としている。 平成5年度は、試料からの反射波面を補助光学系を使用して球面波面乃至は平面波面に近似し、光波干渉計により得られた収差を含む干渉縞パターンを解析して、試料の形状誤差を求める非軸対称非球面形状計測法に関し、理論的・実験的検討を行った。 ここでは、非軸対称非球面試料としてトロイド面を使用し、これを楕円面に近似してその1焦点を光源、他の焦点を収束点とする斜入射光学系を構成し、本光学系を経由し球面乃至は平面で反射する戻り波面を、既存のレーザ干渉計測システム(ZYGO MARK I)により干渉縞パターン化し、新たに導入したZYGO ZyMOD/PCシステムにより、波面の解析を行った。 同時に、トロイド面による近似収束光学系に関し、得られる近似球面波の持つ収差の理論解析を行い、誤差のないトロイド面による干渉縞パターンを求めた。また、この干渉縞パターンの光学系アライメント精度との関連を明らかにした。 理論解析結果からのトロイド面の反射による干渉縞パターンと、実際の試料で得られた干渉縞パターンの比較により、試料の形状誤差解析を行なった。 以上の研究結果から、非軸対称非球面を、斜入射近似収束光学系を用いて、全面同時計測する形状計測原理を実験的に確認した。しかしながら、本計測法では、光学系のアライメント精度が試料面形状計測精度に大きな影響を与えることが明らかになり、アライメント誤差の分離が本計測方式実用化への課題となる。
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