本研究は、軟X線や極紫外領域の放射の結像系に使用される楕円面、放物面、トロイド面等の非軸対称非球面形状を、平面や球面と同等の精度で計測可能にすることを目的としている。 本研究では、従来一般の計測技術では極めて困難であった非軸対称非球面の形状を、レーザ干渉計測とコンピュータ画像処理により、試料面全面同時に計測可能にする新しい計測手法を提案し、それを実験的に検証している。ここでは、放物面、楕円面、トロイド面等の非軸対称非球面試料が球面波や平面波の放射を点収束する斜入射反射光学系を形成する。この斜入射光学系を介し、球面鏡で折り返す波面をレーザ干渉計(ZYGO MARKII)により干渉縞パターン化し、本研究で導入した干渉計解析システム(ZYGO ZYMOD/PC)により試料面からの波面形状を求め、試料形状誤差を算出する。ここで対象とする非軸対象非球面試料がトロイド面や円筒面のような近似収束面の場合、予め完全収束面である楕円面や放物筒面との偏差を理論的に求めておき、この偏差量を干渉縞の波面解析によって得られた表面形状値から差し引くことにより、試料の形状誤差が算出される。 実験には軟X線や極紫外領域の放射の結像に実用的に使用されるトロイド面と円筒面を用い、それぞれを楕円面、放物筒面に近似し、レーザ干渉計とコンピュータ画像処理により表面形状誤差を算出した。 本計測法は測定試料面全面の形状誤差を同時に表示することが可能であり、従来測定が困難であったトロイド面のねじれや円筒面のテ-パ等の検出ができ、また、基板の弾性変形により任意光学面を形成する能動光学においても表面形状評価手段としての有効性が認められた。
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