研究概要 |
1.剛体マニピュレータの位置と力の制御において,力偏差を変換則により手先速度ベクトルに変換する際に,その大きさおよび変換方向をマニピュレータのコンフィギュレーションの関数とすることにより,力の応答特性を一定にすることができ,かつ力応答の位置応答への影響を軽減し,位置と力を独立に制御することが可能となった. 2.上述の制御則を2台の剛体マニピュレータの協調制御に適用した.このとき,把持物体に作用する力を,物体を把握するのに必要な握力と,物体を操るために必要な操り力と物体に作用する外乱力の和である外力の2つに分け,握力の力制御に加えて,外力に対するコンプライアンス制御を行うことにより物体を安定に把持し,操ることを可能とした.2台のマニピュレータを製作し,実験およびシミュレーションにより提案した制御則の有効性を確認している. 3.フレキシブルマニピュレータについては,弾性節と平行剛体4節リンクとを組み合わせた構造の平面2自由度マニピュレータを設計製作し,それにより可動部の軽量化をはかり,エンドエフェクタの姿勢が弾性節の変形によらず関節角だけで決定できるようにした. 4.フレキシブルマニピュレータの制御則については,各節の剛性を手先の剛性に置き換えた手先剛性行列を用いて力偏差の速度ベクトル変換方向を算出することにより,押しつけ力によって発生する手先位置のずれを減少させた.つぎにフレキシブルリンクのひずみ情報の振動成分を関節座標サーボ系へのフィードバック入力とすることにより手先速度応答の振動を抑制した.さらに作業座標上の制御則により生成された目標手先速度ベクトルを関節角速度に変換する際にフレキシブルリンクのたわみ速度を考慮することで速度応答の定常偏差を軽減させた. 5.衝突時の過渡的な力の制御では,1自由度フレキシブルマニピュレータを対象として,力応答の誤差面積を評価関数とし,その停留条件から最適接近速度を算出した.つぎにマニピュレータが拘束面に衝突した直後にゲインを可変にすることで,エンドエフェクタの拘束面からの分離および力応答のオーバーシュートを抑える制御を可能とした. 提案した手法の有効性を実験およびシミュレーションにより確認している.
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