研究概要 |
超微粒子は物性面から見ると,一つ一つは固体といえるものの,集合体は流動性が高く液体あるいは気体に近い挙動をもつと考えてよく,摩擦面に超微粒子が介在するとき,固体潤滑剤の作用と境界あるいは流体潤滑的な作用を合わせもつ潤滑法が可能になる.一方で,超微粒子は体積に比べ表面積が大きいため,その表面は活性に富み固体表面に対し境界潤滑剤に類似した作用ももつと考えてよい.本研究では,超微粒子による固体表面への作用の基礎的な現象を解明し,その応用として超微粒子潤滑を可能にする方法を示すことを目的とした. 本研究では,超微粒子が摩擦面に介在するときのトライボロジー特性を明らかにするため,摩擦面間に介在する超微粒子の摩擦面間での挙動を明らかにするための顕微鏡システムおよびテレビカメラシステムを購入設置した.それによって,金属超微粒子が摩擦する固体表面間に介在しているときの表面状態の変化を動的に観察し,超微粒子の摩擦面での挙動を明らかにした.そして,表面の観察と同時に測定した摩擦係数あるいは摩耗量によって,摩擦面に超微粒子が介在するときには,摩擦する固体材料と超微粒子の組み合わせがトライボロジー特性に重要な影響をもたらすことが確認できた.さらに,摩擦する固体材料と超微粒子の種類による潤滑状態の相違から,超微粒子が示す潤滑性について固体材料の種類による分類を行い,超微粒子のトライボロジー特性の基礎的性質を明らかにした.
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