研究概要 |
前年度からの継続項目として,ソースガスとキャリアガスとの混合拡散過程及び成膜過程の解析をさらに追求するため,まず,実験的手法としてレーザ誘起蛍光法と飛行時間質量分析法によって膜厚均一性と成膜成長速度向上性に関するガス導入の最適条件を模索した。とくに,従来では複数ノズルによる干渉が弊害とされていたが,逆に積極的に干渉させることにより早く一様な分布となり好結果をもたらすことを明らかにした。これは,モンテカルロ法などによる数値解析からも裏付けされ,新しいキャリアガス導入条件を提案することができた。 プラズマ電離場中のラジカル化及びイオン化過程の実験を遂行し,中性分子からの電離化率はプラズマ条件により異なるが,アルゴンなどの活性ラジカル種を活用することにより,薄膜物質をより活性化させて種々の化学反応がなだれ現象的に生ずるしきい値が存在することを確認し,従来無視されてきた気相反応も十分利用しうることを明らかにした。この現象は,薄膜プロセスだけでなく,例えばCO_2の再燃料化などへの応用も考えられる。また,分子軌道法による量子化学的解析によっても反応を最適に行なわせるための衝突条件やエネルギー条件が明確にでき,基底状態からラジカル・イオン化過程も明確になって来た。 上記のような実験及び計算から,薄膜基板上の反応制御の可能性を追求すべく,分子軌道法→量子モンテカルロ法→分子動力学法→DSMC法→NS法を連成させるCAE構築を試み始めている。これによって実用的な成膜装置の機器設計に貢献できる手法が確立できることが期待される。報告書は印刷中である。
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