研究概要 |
遠心血液ポンプの欠点を克服した軸シール不要の磁気浮上式ポンプについて,ポンプ効率の向上と溶血特性の改善ならびに生体血液循環系に適合したポンプ運転方式の確立により臨床用血液ポンプの開発に役立てることを目的としており,本年度得られた主な成果はつぎの通りである。 (I)高流量域で効率のよい16枚羽根と低流量域で効率のよい6枚羽根のインペラー形状を見出した(スキャナーは流れの可視化に,トルク計はトルク測定に用いる) (II)これらのインペラーについて溶血試験を行った結果(1)前者の16枚羽根のインペラーの方が溶血が少ない。(2)流量:5l/min,血圧100mmHgという条件では当ポンプはバイオポンプより溶血が少ないが150mmHgと回転数が高くなるとバイオポンプよりも少し溶血が多くなる.(3)インペラーディスクとポンプケーシングの間のすきまが0.15mmと0.25mmの2種類のインペラーに対して前者の方が溶血が少ないことがわかった.以上の結果に基づいて今後さらに溶血の少ないポンプの開発を行っていく。(圧力計はポンプ特性計測に,マッキントッシュはデータ整理に用いる) (III)ポンプの運転特性として生体模擬循環系を用いたシミュレーションにより(1)スターリング則に基づくポンプの運転法を見出した。(2)ポンプの回転数をステップ状に変化させた時の循環系での変化の様子を理論的に解析し,実験とよい一致を見た.圧力・流量の測定から循環動態を同定した。
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