研究概要 |
本年度の研究内容および成果は以下の通りである. 1.円柱列間の流れの数値解析 レスリ-・エリクセンの液晶モデルに高粘度近似を導入して導いた液晶高分子に対するTIFモデルを用いて,円柱列間の流れの解析を行った.円柱列は,正方形配置と六角形配置について計算を行った.計算方法は,差分法であり,境界適合曲線座標による座標変換を用いた.計算により,分子配向が伸長流れによって大きく影響を受けることを示した.また,Doiモデルとの関連を考慮した物性定数に対しては流れ場がニュートン流体のものと異なることを明らかにした. 2.繊維充填液晶高分子溶液の平行円板間放射状流れの実験 ヒドロキシプロピールロース(HPC)水溶液にビニール繊維を混入した試料流体を用いて実験を行った。試料流体の濃度は,等方相である30wt%,40wt%と液晶相である50wt%,60wt%である.繊維は減速流れによって円周方向に配向を変えるが,配向秩序度により配向の程度を調べたところ,液晶相の方が配向秩序度は低くなっていた.その原因を調べるために繊維の入っていない液晶高分子溶液の流れを偏光顕微鏡によりクロスニコル下で観察したところ,流量が大きくなると放射状の縞模様が観察され分子配向が円周方向に一様でないことが判明した.これが,繊維配向を悪くしている原因ではないかと考えている.
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