研究概要 |
BWR燃料棒支持用の代表的なスペ-サの一つである丸セルタイプスペ-サを模擬した平板型の流動障害物を環状流路内に設置し,加熱された管表面上でのドライパッチの生成の状況を主に可視化から実験的に調査した.その結果,以下の結論が得られた.1.スペ-サが存在するとドライパッチは,スペ-サ隙間内の上流部からその外側のスペ-サ直下の領域という限定された領域で生じる.また流動様式も環状流に限定され,液膜が瞬時に下方へ重力によって流下した際に生じた.2.本実験では大きな波がスペ-サに到達した直後にドライパッチは消滅したが,もう少し熱流束が大になってドライパッチ存在時間が長くなると加熱管のバーンアウトが生じる可能性がある.3.スペ-サピンは,上方からの液体の流下の際に,その下方への液体の供給を妨げるため液膜の薄膜化を助長する.したがって,通常最初にドライパッチが発生するのはスペ-サピンの直下である.4.スペ-サピンと同様スペ-サはドライパッチ生成を助長させる反面,ピンと接触する点で加熱壁を冷却する効果も有している. さらにボイド率,壁面静圧,壁温などの各種出力信号からスペ-サによる気液のミキシング効果について特に流動の時間的変化の重要性に焦点を合わせて実験的に調査した.その結果,1.ボイド率の変動特性から,スペ-サによるその下流側での気・液相のミキシング効果は大きく,非定常的な現象が重要であること,2.壁面静圧の変動特性から,スペ-サの存在によって流れ場がかなり変わり,逆流が発生し難いこと,3.伝熱条件(発熱管内壁面の温度結果)から,スペ-サ間隔Ls=500mmの場合が最も良く除熱すること,4.視察の結果からもLs=500mm以下の場合最も気液のミキシング効果のあることが伺えること,5.本研究の実験範囲では,特にLs=500mmの場合が下流側のスペ-サ近傍で液膜破断が発生し難く,最も安全性が高いこと,が明らかとなった.
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