研究概要 |
人間とロボットの協調動作に対して,本年度は,人間とロボットの間で物体を手渡しする動作の解析及びその実現のため,以下のような研究を行った. 1.人間どうしの手渡し動作中の把持力を解析した結果,把持力の制御は,手にかかる鉛直方向力に従って行われており,受け取る側の指先ですべりが生じる場合,必要最小限の把持力以外に余分な力を加えており,把持力の大きさは物体の加速度に比例することがわかった.以上の解析結果より導いた制御アルゴリズムを組み込んだ1自由度ロボットハンドを試作し,人間との手渡し動作をおこなった結果,人間同志と同様な特性を示すことが確認された。 2.人間の手の動きを予測するアルゴリズムを構築した.カメラにより撮影した画像から人間の手先位置を求め,動作を等速運動と仮定して構築したカルマンフィルタアルゴリズムにより,1/30秒先の人間の動きを予測することができることを確認した。 3.ロボットが人間に物体を手渡す場合の,ロボットの動作を心理的に評価した.その結果,動作の速度パターンは,そのピークが動作時間中央ではなく,やや前よりにある方が人間らしい動きになるということが確認された. 4.以上のアルゴリズムを組み込むためのロボットシステムを構築し,その性能評価をした. 5.来年度の予定課題である人間とロボットの協調物体移動動作の実現のため,人間どうしの協調物体移動動作の予備実験を行った.
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