研究概要 |
本年度は人間とロボットが協調して棒を移動させる動作を実現するために,以下の手順にて研究を行った. 1.両端に6軸力センサをつけた物体を,2人の人間がそれぞれの端をつかみ,平面内を移動する実験を行った.その際,一方が主導的に,他方はその動きに従うようにした.物体の動きをエンコーダ,力を6軸力センサで測定し,運動を解析した.その結果,人間は相手が動き始める前までは高いインピーダンス特性を示しており,動き始めると抵抗のないインピーダンス特性になることがわかった.特に,このようなインピーダンスの変化するパラメータは粘性係数であることが示された. 2.先のような人間の特性を可変インピーダンスによりモデル化した.インピーダンスパラメータは慣性質量及び粘性係数とし,粘性係数を変化させるモデルとした.パラメータは人間同士の実験から決定した.慣性質量は0.5kg,粘性係数は物体の速度が0.05m/s以下の場合には1.5Ns/m,それ以上では8Ns/mとした. 3.産業用多関節型ロボツトPUMA561(川崎重工製)に上記モデルを組み込み,人間との協調実験を行った.その結果,インピーダンスを変化させない従来の方法では操作に重さを感じるが,可変インピーダンスでは操作に重さを感じることなく人間同士のように滑らかに協調できることがわかった. 以上,人間とロボットの協調動作に関して,平成5年度に行った手渡し動作と今年度に行った協調移動動作をまとめることにより,人間とロボットの間で水平方向の物体の協調移動動作を実現できることが示された.すなわち,小さな物体については手渡し動作で,大きな物体については協調移動動作により実行される.
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